アグリジェント神殿の谷(=考古学地区) Valle
dei Templi |
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■ 神殿 |
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Templi |
5つの神殿からなる神殿群は、2つの地域に別けられます。東側の丘の上に建つメインの3神殿(ヘラ神殿、コンコルディア神殿、ヘラクレス神殿)地域と、連絡橋を渡った西側にある2神殿(ゼウス神殿、ディオスクリ神殿)地域です。
【神殿】
開: 08:30〜20:00(最終入場 19:00)
7月中旬〜9月中旬は夜間もオープン(2020年7月18日〜9月13日)
料: 神殿のみ 12.00ユーロ
神殿&考古学博物館共通券 15.50ユーロ
休: 年中無休
※毎月第一日曜日は無料
※共通券は3日間有効
※神殿入口にはセキュリティチェックがありますので、ナイフ等は持ち込まないようにして下さい。また、遺跡内では、日焼け防止フェイスマスクの着用は禁止されています。(テロ対策)
※コロナウィルスの期間中は、事前に入場券をオンラインで購入することをお勧めします。
入場券購入サイト COOPCULTURE [英]
(2020年7月末時点の情報) |
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□ ヘラ神殿 《Google Map》 |
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Tempio di Giunone |
一番東側の高台にあります。
紀元前460年頃に建造された周柱式ドーリア式神殿で、ギリシャ神話の最高神ゼウスの正妻ヘラに捧げられていました。ヘラは、結婚と家庭を司る神なので、ギリシャ時代は神殿前で結婚式が行われていたそうです。
基壇とかわずかに円柱に残る白い漆喰は、ギリシャ時代に白く塗られていたことを物語っています。フリーズやコーニス、シーマは、なんと赤や黄や青の色で塗られていたそうです。今は、凝灰岩がむき出しになっているので地味ですが、ギリシャ時代は、さぞかし派手だったのに違いありません。(アグリジェントやシラクーサのほとんどの神殿は彩色神殿でした!)
神殿の規模 横17m x 縦38m 高さ
15m 柱の本数
6 x 13本
ヘラ神殿の前にある石を積み上げた台は、祭壇です。ギリシャ時代は、神殿の前には必ず祭壇があり、祭壇は神殿に捧げ物をするときに使われていました。
ヘラ神殿からコンコルディア神殿に行く途中、左側にギリシャ時代アグリジェントの町を取り囲んでいた城壁が崩れながらも残っているのですが、よく見ると穴が空いているものが多いです。穴は、ビザンチン時代に墓地として使用していたときの名残です。わずかにフレスコ画が残っているところもあります。 |
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□ コンコルディア神殿 《Google Map》 |
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Tempio della Concordia |
神殿を東側から観光していくと、ヘラ神殿の次にあります。丘の中央に位置し、最も完全に近い姿をとどめている神殿です。
紀元前440年頃に建造された周柱式ドーリア式神殿で、ローマ神話の平和・調和の女神コンコルディアに捧げられたことになっていますが、実ははっきり分かっていません。
6世紀のビザンチン時代に神殿は教会に改築され、(そして一説によるとアラブ時代にはモスク)、ノルマン時代に再び教会になり、18世紀に元の神殿の姿に戻りました。教会に改築したときに、円柱と円柱の間を塞いで壁にしたため、結果的に神殿を補強することになり、地震で崩壊することなく、素晴らしい保存状態で残っています。
神殿の規模 横17m x 縦39m 高さ
14m 柱の本数
6 x 13本
神殿前にブロンズ像が置かれていますが、これはギリシャ神話の中のイカロスの像です。イカロスは、海の上を飛んでいる時に、太陽に近づきすぎて羽の蝋が溶けて落ちましたが、上手く渡り終えた父親のダイダロスは、アグリジェントの近くに辿りついたとされています。
◆ギリシャ神話イカロスの墜落の話(Wikipedia) |
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コンコルディア神殿の右側(高台の町側)に、2015年からアグリジェント固有種のヤギ「Capra Girgentana」が放牧されています。西アジアの山岳地帯に住むマーコールの血を引くヤギで、螺旋状の角を持っています。
アーモンドの葉を食べるヤギの動画(YouTube) |
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□ 初期キリスト教徒の墓地 《Google Map》 |
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Necropoli Paleocristiana |
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コンコルディア神殿とヘラクレス神殿の間の右側にあります。
3世紀〜4世紀の初期キリスト教徒の共同墓地です。表に出ている部分だけでなく、地下に隠れている部分もあります。 |
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□ ヘラクレス神殿 《Google Map》 |
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Tempio di Ercole |
東から丘を下がってきたところにある、8本の柱が並んでいる神殿です。
ギリシャ神話の英雄ヘラクレスに捧げられていました。
紀元前520年頃建造されたアグリジェントで一番古い神殿です。周柱式ドーリア式神殿で、他の神殿よりも少し古い時代に造られているので、柱のエンタシス(中央部がいくらか膨らみを持っている)が強調され、他の神殿よりも、奥行きの柱の本数が多いです。(他の神殿は13本ですが、この神殿は15本)
瓦礫の山だったのですが、1921年頃に考古学者ハードキャッスル卿により現在の8本の柱が復元されました。
神殿の規模 横25m x 縦67m 高さ
16m 柱の本数
6 x 15本
神殿の東側には、石材の重さで窪んだ轍の跡が残っています。 |
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□ ゼウス神殿 《Google Map》 |
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Tempio di Giove Olimpo |
連絡橋を渡った西側の入口にあります。
ギリシャ神話の最高神ゼウスに捧げられた神殿です。
いったいどれが神殿?と言いたくなるぐらいの石材の瓦礫の山ですが、実はギリシャ時代に建てられた神殿の中で、最も大きいものの一つです。表面積が約6300m²あり、小さいサッカースタジウムと同じぐらいの広さがあります。
ヒメラの戦いの戦勝記念に建てられたものです。
紀元前480年に神殿の建築が始まりましたが、規模が大きすぎたため、建設に年数がかかりすぎて、紀元前406年カルタゴがアグリジェントに攻めて来た時に、未完のまま崩壊しました。
昔はもっと大きな瓦礫の山だったに違いないのですが、16世紀に近くの港の堤防建設のため、神殿の石が石材として持ち出されています。
神殿の中央には、装飾のためだけでなく、実際に円柱にかかる重圧を軽減する役割もしていた巨大な男性の柱像テラモンのコピーが横たわっています。(オリジナルは考古学博物館に保管されています。)
神殿の規模 横56m x 縦113m 高さ
33m 柱の本数
7x 14本
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探してみよう! |
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神殿を形成していた石材に残るライオンの尻尾の浮き彫り。
実際、ゼウス神殿のフリーズを飾っていた彫刻の一部です。
こうした彫刻は、考古学博物館に保管されるのが普通で、現場に残っているオリジナル彫刻は、非常に珍しいもの!
ゼウス神殿の北東に、他の石と一緒に転がっていますよ。 |
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□ ディオスクリ神殿(=カストル・ポルクス神殿) 《Google Map》 |
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Tempio di Dioscuri (Castore e Polluce) |
西側の一番外れにあります。
ゼウスの双子の息子カルトルとポルクス(双子座の二人)に捧げられた神殿ということになっていますが、はっきりとは分かっていません。
紀元前5世紀末に建造された小規模な周柱式ドーリア式神殿です。この神殿もゼウス神殿と同じように、以前は瓦礫の山と化していましたが、19世紀前半に現在の4本柱と上部のエンタブラチュアの部分が復元されました。
神殿の上の方をよく見ると、コーニスとフリーズの装飾やライオン頭の形の雨樋がついているのが、興味深いです。
神殿の規模 横16m x 縦34m 高さ ?m 柱の本数 6 x 13本 |
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□ コリンベトラの庭園 《Google Map》 |
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Giardino di Kolymbetra |
西側の外れにあります。ディオスクリ神殿の崖下に広がる庭園というか植物園です。小さい川が流れ、ギリシャ時代は、川の先に貯水庫がありました。現在は、オレンジ、マンダリン、レモン、オリーブ、イチジクの木などが茂るオアシスになっています。
ピクニック場所が設けられていて、サンドイッチ等を持ち込んで食べることが出来ます。
FAI管轄のため、神殿の谷内にありますが、別途入場料が必要。
【コリンベトラの庭園】
開: 2月、11月〜1月6日 10:00〜14:00(最終入場 13:30)
3月〜4月、10月 09:30〜17:30(最終入場 17:00)
5月〜6月、9月 09:30〜18:30(最終入場 18:00)
7月〜8月 09:30〜19:30(最終入場 19:00)
料: 6.00ユーロ 子供割引あり(4〜14歳は2.00ユーロ)
神殿&コリンベトラの庭園共通券 15.00ユーロ
展示館期間中は、共通券は入場料が2.00ユーロ高くなります。
休: 2020 年1月7日〜1月31日
(2020年1月時点の情報) |
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■ 考古学博物館 《Google Map》 |
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Museo Archeologico |
神殿の谷から町方向に900mほど行ったところにあるサン・ニコラ教会の隣にあります。
アグリジェントと近郊で発掘された考古学の品々が展示されています。
注目すべきなのは、サンタンジェロ・ムクサロで見つかった金の杯と指輪、大理石のアグリジェントの青年の像、大理石のギリシャ戦士の胴体像、神殿を飾っていたライオンの頭の形の雨樋、ゼウス神殿の柱を飾っていた男性の像テラモンの全体像と顔など。
ギリシャ陶器も、素晴らしいものがたくさんあり、中で有名なのは、ペルセウスとアンドロメダが描かれたクラテル(混酒器)と、アキレウスとアマゾネスの戦いとヘラクレスとケンタウロスの戦いが描かれたクラテル。
考古学博物館の前には、紀元前2世紀頃造られた古代の集会場とファラリスの礼拝堂と名付けられたローマ時代のものと思われる神殿があります。そしてその左側には、13世紀前半にシトー会修道院に付属する教会として建てられたサン・ニコラ教会があります。
この教会前からの海側の眺めもいいので、博物館に直行せずに、立ち止まって海側の神殿の谷の方向を眺めてみて下さい。遠くに、コンコルディア神殿やヘラクレス神殿が見えますよ!
【考古学博物館】
開: 月〜日 09:00〜19:30(最終入場 19:00)
料: 考古学博物館のみ 8.00ユーロ
神殿&考古学博物館共通券 15.50ユーロ
休: 年中無休ですが、特別の祝日は閉館になる可能性あり
※共通券は3日間有効
※毎月第一日曜日は無料
(2020年7月末時点の情報)
最新情報は、下のページを確認下さい。
アグリジェント考古学博物館 最新閉館日情報 |
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■ ヘレニズム・ローマ地区 《Google Map》 |
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Quartiere
Ellenistico-Romano |
紀元前2世紀から紀元後4世紀頃まで、ヘレニズム・ローマ時代のアグリジェントの町の一部が、発掘されて公開されています。
元々、紀元前6世紀から紀元前5世紀のギリシャ時代(アルカイック時代、クラッシック時代)の都市計画でつくられた町の上にできた町なので、碁盤の目状で整然としています。
ヘレニズム期の回廊式の列柱廊「ペリスタイル」を持つ家や、「アトリウム」(中央に雨水を受ける水盤のある中庭)を持つ家があります。
よく見ると、壁には漆喰やフレスコ画の跡、床には幾何学模様のモザイクや具象モザイクの一部残っている住居もあり、興味深いです。(具象モザイクの内、保存状態がいいものは、アグリジェント考古学博物館に展示されています。)
【ヘレニズム・ローマ地区】
開: 08:30〜17:00
料: 神殿の入場券が有効
※オフシーズンは閉まっている可能性が高いです。 |
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