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グリーダ
グリーダ
〔Gurrida〕は、かの有名なイギリスの
ネルソン提督
のシチリア領地のブロンテ公爵領に、19世紀前半、ネルソン家に雇われていたフランス人醸造家によって植えられた葡萄
グルナッシュ種
から、
有機農法
でワインを造っているワイナリーです。
古木ほどよいワインを生むことで知られるグルナッシュ種ですが、グリーダには
樹齢200年
近い古木があり、その葡萄から造られるIGT赤ワイン「
ヴィクトリー
」は、知る人ぞ知る銘酒として、イタリアの某ワイン評価サイトでは最高評価を受けています。
※経営上の問題で2008年からワインの製造停止しています。
おいしいワインを生み出すだけでなく
姿形も美しいグルナッシュの古木
ワイナリーのあるグリーダ農園は、シチリアの東海岸線から約40キロほど入ったエトナ山の北西山麓標高約850mに位置しています。エトナ山の裾野の中でも、特に美しい自然の残る地域です。広々とした農園は170ヘクタールあり、農園内をエトナ山周遊鉄道が走ります。
ネルソン提督がシチリアに領地を持っていたことは、あまり知られていない事実。ネルソン提督とシチリアの関係が分からない方がほとんどでしょう。
実は、19世紀初め、ナポリで共和主義者による革命が起きた時、当時ナポリとシチリアを支配していたブルボン王家が、ナポレオン率いるフランス軍の脅威から身を守るため、シチリアのパレルモに避難しました。「ナイルの海戦」で、ネルソン提督率いるイギリス艦隊はフランス艦隊を撃退し、地中海からフランス軍の脅威を取り除きました。その褒賞として、国王はネルソン提督にブロンテ公爵の爵号とエトナ山北西部にあるブロンテ周辺の広大な領土を与えたわけです。
ネルソン提督の死後、爵位と領地は、ネルソン提督の兄に引き継がれ、またその子孫へと引き継がれましたが、1960年台の終わりに、7代目のブロンテ公爵が、土地を売りに出しました。ブロンテ市が買い取りましたが、1990年にブロンテ市がワイナリーを含む一部の土地を売りに出し、現オーナーの元弁護士アンジェロ・チェザロ氏が買い取りました。見捨てられていた葡萄畑に再び手を付け、ワインの製造を再開したのです。
樹齢200年近いグルナッシュから造る「ヴィクトリー」は、1805年のトラファルガー海戦でフランス・スペイン連合艦隊を打ち破ったネルソン提督の旗艦の名前に由来しています。
グリーダのグルナッシュのように樹齢200年近い葡萄の木は、ヨーロッパ全土を見回しても、非常に珍しいものです。それというのも、19世紀末、ヨーロッパに害虫フィロキセラが大流行し、葡萄の木は壊滅的な被害を受け、ほぼ全滅したからです。しかし、エトナ山周辺には、火山の特別な土地・気候条件が幸いし、一部の葡萄の木が生き残りました。ブロンテ公爵領の葡萄畑もフィロキセラの被害を受けたものの、冬に沼地化する葡萄畑には被害が及びませんでした。ここでは毎年冬になり雨がたくさん降ると、近くにある川が氾濫して葡萄畑は約2ヵ月間沼地下し、葡萄の木は足元が水の下に完全に隠れます。そのため、葡萄の木の根につくフィロキセラの虫が、水面下では生き残れないため、グルナッシュは、200年近く生き抜くことが出来たわけです。
グリーダのワイン
「
ヴィクトリー黒ラベル
」 IGT 赤
樹齢200年近いグルナッシュの古木の葡萄を使い、フレンチオーク材のバリック樽に2年間、瓶で半年熟成させたワイン。
「
ヴィクトリー赤ラベル
」 IGT 赤
樹齢200年近いグルナッシュの古木の葡萄を使い、フレンチオーク材の大樽に半年、瓶で半年熟成させたワイン。
黒レベル、赤レベルともに、手頃な値段ではありませんが、ワイン好きな人にはぜひ試していただきたいワインです。赤の方がフルーツや花の香りが強く、黒の方がより複雑な味で驚くほど後味があります。アルコール度は高く13.5〜14.0度。
グリーダ農園
エトナ自然公園の中にある広大な農園には、葡萄畑の他、美しい人口の湖があり、エトナ山周遊鉄道も走ります。
ワイナリーの建物
発酵タンクと大樽
エトナ山と葡萄畑
葡萄畑
水に浸かった葡萄畑
樹齢200年近いグルナッシュ
グリーダ湖
エトナ山と山羊の群れ
エトナ山周遊鉄道の線路
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